中学受験における中堅校の入試問題が変化している。プロ家庭教師の西村則康さんは「知識だけで答える問題は減少し、難関校同様に思考力や記述力を求めるようになった。甘く見ていると、大きな失点につながる」という――。
勉強中、机にうつぶせる子供
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中堅校を志望する層が増えている

近年、首都圏では中学受験熱が高まり続けている。かつて中学受験といえば、できるだけ難関校を狙う家庭が多かったが、近ごろは地元の公立中学校よりもより良い教育環境を求めて、中堅校を志望する層が急激に増え、厳しい戦いとなっている。中堅校とはいえ、入試問題を見ると知識だけで答えるというものは減少し、難関校同様に思考力や記述力を求める問題に変化している。中堅校だからと甘く見ていると、大きな失点につながる危険性がある。今回は2023年度入試から見えてきた中堅校の科目別出題傾向を解説していく。

記述問題が増加、内容理解を求められる

まずは国語。数年前までは、難関校と中堅校では決定的な違いがあった。それは記述問題があるかどうか。難関校では昔も今も国語入試には必ず記述問題が出題される。一方、中堅校ではいくつかの選択肢の中から正しい答えを見つける選択問題が中心だった。また、記述問題があったとしても、文中から言葉を抜き出すというものだった。それが、ここ数年前から、記述問題が増加。単に言葉を抜き出すだけでなく、「抜き出し」+「自分の言葉」を書くという問題が登場するようになった。

もっとも難関校の記述問題はすべて自分の言葉で書かなければならない。それに比べればまだ簡単ではあるが、対策は必要になる。まず文中の言葉を使って答える条件記述に慣れ、次にそれを別の言葉に言い換えたり、要約したりする練習を積み重ねることだ。

そのときの文章の読み方として、例えば物語文で登場人物の気持ちを聞かれている場合、場面の変化や情景の変化、行動の変化に注目しながら、「結局、この人は何が言いたいのだろう?」と相手の気持ちを理解しようとしながら読み進めていくことが大切になる。つまり、各問いに対して、「この問題の答えはこのあたりに書いてあるはずだ」と文中にある言葉を探すのではなく、より文章全体の内容を理解することが求められているのだ。こうした読解力を測るのに自分の言葉で記述させる問題が増え、それが正解できるかが合否の分かれ目になってきている。